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2006年06月28日

◆京葛野の松尾大社と渡来系氏族・秦氏(八)

◆京葛野の松尾大社と渡来系氏族・秦氏(八)


◆京葛野の松尾大社と渡来系氏族・秦氏(八)

◆◇◆山城国葛野郡の松尾大社と渡来系氏族・秦氏、大和国十市郡の目原坐高御魂神社と大和国添上郡に宇奈太理坐高御魂神社

 大和国に高皇産霊神を祀る神社があったという。『延喜式』神名帳には高皇産霊神を祀る神社として、大和十市郡に目原坐高御魂神社と大和国添上郡に宇奈太理坐高御魂神社(桜梅天神)の名がみえる。

 大和十市郡の目原坐高御魂神社については現在地は不明である。候補神社は次の三社です。(1)天満神社「高御魂神、神産日神、菅原道眞 合 子安大神」(橿原市太田市町225) 、(2)耳成山口神社「大山祇命、高皇産霊神」(橿原市木原町490) 、(3)山之坊山口神社 「大山祇命」(橿原市山之坊町304)。

 目原坐高御魂神社は、『日本書紀』顕宗天皇三年四月五日の条に「日神、人に著りて、阿閉臣事代に謂りて曰はく、『磐余の田を以て、我が祖高皇産霊に献れ』とのたまふ。事代、便ち奉す。神の乞の依に田十四町を献る。対馬下県直、祠に侍ふ」とみえる高皇産霊神の社で(『日本書紀通釈』)、天平二年(730年)神戸の租稲271束のうち4束が祭神料にあてられ(『大倭国正税帳』)、大同元年(806年)には「目原二神」に大和国内で神封が寄せられた(『新抄格勅符抄』)。天安三年(859年)一月二七日、従五位下より従五位上に昇叙されている(『三代実録』)。

 なお『五郡神社記』では式内目原坐高御魂神社は木原村(現橿原市)にあり、高皇産霊神・天万栲幡姫を祀るとしている。

 『記・紀』神話では、天照大神の誕生前に登場する造化三神の一神が高皇産霊神である。『延喜式』神名帳によると、高皇産霊神を祀る神社が四社ある。

 大和に二社(十市郡に目原坐高御魂神社、添上郡に宇奈太理坐高御魂神社)、山城国に一社(乙訓郡の羽束師坐高御産日神社)。もう一つは対馬(下県郡の高御魂神社)である。

 このうち、大和国十市郡に目原坐高御魂神社は対馬から勧請されたことだ分かっているが、添上郡に宇奈太理坐高御魂神社はよく分かっていない。

 また山城国乙訓郡の羽束師坐高御産日神社ははっきりしていないが、同じ山城国葛野郡の葛野坐月読神社が壱岐から勧請していることから、壱岐か対馬から勧請されたと考えられている。

 『日本書紀』持統紀六年(692年)五月の条に「・・・・幣を四所の、伊勢・大倭・住吉・紀伊の大神に奉らしむ。告すに新宮のことを以てす」とあり、さらに続けて「新羅の調」を「五つの社、伊勢・住吉・紀伊・大倭・菟名足に奉る」とある。

 四つの神社に新しく社殿を建て、さらに十二月の条に新羅からの貴重な品々を、この四社の他に菟名足の神社の高皇産霊の神に奉納したとしている。

 『日本書紀』の天武紀や持統紀は実際の記録にもとづいているから、この五社の特別扱いは異様と考えられる。

 なかでも菟名足(うなたり)は資料に全然出てこない神社であるが、宇奈太理坐高御魂神社と考えられる。それが新羅の貢物献上のおりに、わざわざこの社を祀るのは、対馬・壱岐や新羅に関係していると考えられる。(※注1)

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1) 奈良時代初め、中臣氏の後身である藤原氏(中臣氏改め藤原氏となる)によって、『記・紀』の編纂と「古典神道」の確立、すなわち「宗教改革」と呼んでよいほどの大変革が行われた。

 その目的は、天皇家と藤原氏に連なる神々を「天つ神(天津神)」、豪族に連なる神々を「国つ神(国津神)」に系譜づけることであった(『記・紀』の神統譜作りの目的は、天皇家と藤原氏のためでした)。

 天つ神の首領神がアマテラス(天照大神)であり、国つ神の首領神がスサノオ命(スサノヲ命・須佐之男命・素盞鳴神)とそれを継承したオオクニヌシ(大国主神)である。

 つまり、天津神のグループというのは高天原の神々で、国津神のグループというのはもともと吉野の国樔みたいな土着の神々のことであり、天津神の天照大神は皇室の祖先神になるわけである。

 その後の平安時代初め、『新撰姓氏録』で、神別=神々の子孫、皇別=皇室の出、諸蕃=外来氏族と分類された。さらに『記・紀』神話に現れた諸神の後裔と称する氏族は神別と呼ばれ、天孫、天神、地祇に分類された。


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Posted by スサノヲ(スサノオ) at 00:00│Comments(1)京の民俗学
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Posted by 名古屋マン at 2017年04月02日 01:57
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